痛みが良くならない場合の盲点

柔らかい組織の回復

痛みって時間で少しずつ良くなってくる。
ある人が言うには、
2週間で50%ぐらい。
1ヶ月半で70~80%ぐらい。
3カ月で100%1)ぐらいって言われる。

 

 

 

 

 

 

 

これは体の骨以外の柔らかい組織の
回復具合をざっくりと説明したもの。
当然、傷の度合いや部位、
あとその人の体質や病気、
生活の仕方によって変わるから
完全に一致するわけではない。
あくまで目安なんだけど。

柔らかい組織は時間とともに
回復するはずなのに、
実際にはそんな風にならない。
「昨日まで良かったのに急に悪くなった。」
こんな話もよく聞く。
だんだん回復はずなのに、
なんで急に悪くなるんだろう。

1)Paris SV:Principles of Management.Payton OD(ed):
Manual of Physical Therapy.Churchill Living-stone,
New York,1998,pp329-339

回復を邪魔する因子

基本的にはさっき話したように、
時間とともに傷んだところは修復していく。
しかし、その回復を邪魔する因子が存在する。
それが生活での”使い方”だ。

指のパックリ割れをイメージしてほしい。
少し痛みがなくなったと思って、
油断して使うと再びまたパックリ。
よくなっていたものが、
再び悪くなってしまう。

柔らかい組織も同様。
皮膚よりもより深いところの方が、
もっと回復に時間がかかる。
見た感じはなんともないので、
ついつい負担がかかると再び悪化してしまう。

要するに傷んだ組織を回復させるには、
いかに生活の”使い方”で邪魔しないかが、
とても大切になる。

身体の使い方が大事

傷んだ組織の回復を邪魔しないためには、
生活の”使い方”がとても大事になる。
じゃあ具体的にはどうすれば良いのか。
実はとてもシンプル。

痛いこと”をしなければ良い。
痛みが出る動きは
傷口に負担をかけているということ。
それを続けていれば、
傷の”回復をする力”よりも、
傷を”さらに傷める力”の方が勝ってしまう。

その邪魔をしないことが、
本人にとって一番大切なことである。

ただそうもいかないことも少なくない。
仕事やら家事やらあると、
そんな理想通りにいかないのが現状だ。
ではどうすれば良いか。

動きで痛みを感じる場合

まず動きで痛みを感じる場合は、
痛くない動き方を探してみる。

上半身の動く割合から
下半身の動く割合を増やすよう
に変えてみるとか、
動かす関節の割合を
変化させることで負担を分散できる。

また道具を使ったり、
環境を整備したりして、
身体の周りを変化させるのも一つの方法である。

サポーターやテーピングを使ったり、
風呂掃除は柄の長いブラシにするとか、
お金を使うこと楽になることも、
いくつかあるかもしれない。
他にも人に頼むという手もある。

できることとできないことがわかってきたら、
相手にうまいこと頼むことで、
カバーするのも一つの方法である。

同じ姿勢で痛みを感じる場合

「何もしていないのに痛い。」
と言われる人は結構多い。
その場合に大切なのは同じ姿勢を長いこと続けない
「動いて傷む」というのは割とわかりやすい。
でも「何もしていないのに痛い」というのは
なかなか意味がわからない。
という人も多いかもしれない。

同じ姿勢というのは、
実は一部分に負担がかかっている。
なぜかというと身体を支えているから。

横から見て曲がっているところに、
重みは集中的にかかりやすい。
また右や左にねじれている場合は、
ねじれている方の反対の筋肉は引っ張られる。

そしてそれらが20分もすれば硬くなってくる2)。
これは同じ姿勢を支えやすくするための
身体の自然な反応である。
ただ硬くなることで次に動くときに、
痛みや張り感を生じたり、
急激な動きで傷めることなどが生じることがある。

できるだけ良い姿勢をした方が、
負担のかかる部位は分散されるため、
長時間同一姿勢を取りやすい。
しかし実際にはそれは難しい。
だからできることは20分経ったら、
立ったり歩いたりして
身体をほぐすことが大切である。

2)McGill SM,Brown S:Creep response of the lumbar
spine to prolonged full flexion,Clin Biomech
7:43,1992

まとめ

身体の回復にはどうしても時間がかかる。
そのためがむしゃらに頑張ることは、
かえって症状を長引かせてしまうこともある。

回復を邪魔しないために大切なことは、
日常生活の使い方を考えること。
要するに痛いことを避ける。

動きで痛みを感じる場合は、
痛みの出ない動き方を工夫したり、
道具を使ったり環境を整備する。

姿勢で痛みを感じる場合は、
20分経ったら、
立ったり歩いたりして
身体をほぐす。

身体はいつも自分の味方。
身体が悪いのではなく、
自分自身が身体にとって悪いことしてないか、
考えることができれば、
身体と仲良くできるんじゃないかと思う。